こんにちは、上野幹太です。今回はアメリカでの教育実習について話をしようと思います。
まず私を知らない方のために軽く自己紹介をします。
アメリカに来て4年目になる現在、ニューヨークの大学で英語教育を専攻しています。教育実習では主に現地の高校3年生に向けて英語を教えています。
”ん?”と思った方もいるかもしれませんが、そうです。留学生がネイティブに英語を教えているのです。
日本で言うとALTの先生が国語を教えることになり、違和感を感じる方もいるかもしれません。
ではどうしてわざわざアメリカで英語を教えているのか?と言う質問に関してはかなり長くなりますのでまた別の記事で書く予定です。
それでは本題に入ります。アメリカの教育実習について。
日本とアメリカの教育実習の違いは主に、実習量、大学関与、学校システム、と大きく分けて3つあります。
1つ目の実習量に関して、アメリカでは大学2年生から教育実習が始まり、卒業するまで実習が続きます。しかも同じ学校に留まるのではなく学校が学期ごとに変わるので最低でも4〜5校で実習を積むことになります。
さらに、1日平均1〜2コマの日本の教育実習に対してアメリカではその日のすべてのコマで授業を教える必要があります。(7限の日は7コマ)
それじゃあ大学の授業が疎かになるじゃないか?と思った方、鋭いですね。でもご安心ください、その期間は実習プラス大学の授業があるのです。何なら実習は単位にほぼカウントされず(カウントされるとしても学期18単位中1単位ほど)であり実習外では通常量の授業が行われるのです。早朝や夜の遅い時間帯から始まる授業プラス自分の場合は野球の部活もあったので毎日ヘトヘトでした。
このようにアメリカでは大学生に対して教員になるための準備にフォーカスしてカリキュラムが組まれています。量と経験をこなしておくことが教員になる前の絶対条件なのです。
次に大学の関与についてです。日本では主に実習先の教師からフィードバックを受けますが、アメリカでは実習先に加え、主に大学の担当教員からアドバイスを受けます。実際に教授が教室に来たりオンラインでビデオを繋げるなど、専門的な観点からフィードバックを受けることができます。これのメリットとしては実際に大学で学んでいることを実習先での経験に結びつけることができます。例えば実習案や反省レポートを提出する際に、実際に大学の授業で学んでいる概念や理論を用いることが求めまれます。
最後はアメリカの学校のシステムについてです。とにかく日本の学校とアメリカの学校は根本的に何もかも違うので実習生もそれに適応する必要があります。主な違いの一つにテクノロジーの使用があります。黒板や紙の本、ペンなどはほぼ使わずに電子黒板やI Pad、パソコンなどの電子機器が多く使用されます。これにより教材の配布や課題の提出を即座に可能としています。
授業内容もこちらでは大きく異なり、テスト一発勝負がメインの日本に比べてアメリカでは、相対的かつ総合的な評価が求められます。例えば、その学期のクラスの最高成績を100として、生徒たちは0からスタートします。1つ課題をこなしたりプレゼンや授業態度の質が良いとそれにどんどん加算されていきその学期の評定が決まります。(95以上でAなど)
これにより教師と生徒は互いに成績を確認しながら学習を進めることができモチベーションにつながります。これの良い点は他者との比較ではなく生徒がどのくらい努力をしたか過去の自分と比べられて評価がされるため、たとえ勉強が苦手な子でも学習に対して主観的に取り組むことができます。
さらに授業内では基本生徒はディスカッションの場合を除いて個人学習が求められるので、自分の好きなやり方かつ適したレベルで学習に取り組むことができます。1時間のうちにずっと机に向かいっぱなしなんてことはほとんどありません。教室内のヨギボーに座ったり、カーペットに寝転がったり、お菓子やジュースを飲みながら、場合によってはYoutubeを見ながら生徒たちは自分の好きな環境で勉強ができます。これの重要なポイントとして生徒に選択させる、というのがあります。生徒は自分の好きなやり方を選択できるので強制されることなく、それが自主性につながるのです。
また、個人的に私が一番気に入っている点として、アメリカの教員は授業外業務がほとんどありません。ホームルームや掃除給食、生活指導や保護者対応、部活動指導や地域活動がないため教員は授業のみに専念することができ、それが結果的に授業の質と生徒の学力向上につながっています。
しかしながら、逆にそれは教員として授業中でのプロフェッショナルな働きがより求められることになります。授業の質が悪かったり教室管理ができていないと特別指導改善プログラムを受けたり、場合によっては学校側から契約を破棄されることもあります。自分が最も苦戦した点として、特有の問題を抱える生徒をどのように動機づけるかがあります。ドラッグ依存症や虐待など学校外に問題を抱える生徒に授業内でどれほど学習に彼らを取り込むかが必要になってきます。
以上が私自身、アメリカでの教育実習を経験して感じた点です。まだまだ未熟な点ばかりなので今は生徒たちと一緒に自分が成長しているように感じます。物足りない点があるからこそ自分の弱さと欠点を認めることができ常に向上心も持って取り組むことができています。
この実習で学んだことを将来アメリカの現場で、そして世界中の子どもたちへ、最終的には日本に帰ってきて教育の力を通して子どもたちの生きる力を育てられるような人間になります。
続編として、アメリカ大学の授業編、自分の今後の人生プランについて書こうと考えていますのでそちらもお楽しみに
日頃からのサポート、いつもありがとうございます。日々精進!!